アドレナリンの放出「交渉の達人」
本日は、子育てを楽しむための「交渉の達人」について、書いて行きたいと思います。
①問題を決着出来る
交渉の達人「落としどころを見つけだせる」力があれば将来、交渉の達人(タフガイ)になれます。
私は自分自身が、米国の穀物商社で、日本の総合商社のトレーダーや米国本社の外人トレーダーと厳しい価格交渉の仕事をしてきた関係で、「タフガイ」と呼んで貰えるほど交渉には長けてきたつもりです。
私は、息子にも日常生活でそれらの交渉術を教えてきました。
交渉で一番大切なことは、冷静に状況を判断し、計算を重ねて、まずは落としどころを見つけることです。
それが決まれば、あとは落としどころまでもっていくプロセスとテクニックが重要なのです。
交渉のテクニックにはいくつかありますが、日本人の弱点は横並び意識があるので、〇〇が動いた、〇〇が動きそうだという情報が一番効果的なのです。また交渉では、まさに「沈黙は金」なのです。
激しい口論や価格交渉には「間」が必要です。間を作るためにはあえて「沈黙」を利用するのが、タフネゴシエーターの極意だからなのです。
私は息子に対しても、絶対にすんなりとOKは出しませんでした。
息子は自分の意思を通すためにあれこれ交渉しますが、父親に言い負かされてしまえば、結果は我慢しなければなりませんので、息子も必死でした。親としてはときには我慢させることも大切と思い、親子の交渉バトルはいつも続きました。
ところで、社会に出て、大きな組織や外国人を相手にするためには、交渉の技術が要求されます。交渉よっていかに「戦わずして勝つ」かが、会社の業績や未来に直接関連するので、交渉の達人になることが求められるのです。
日本人には少しハードルの高い能力となりますが、この能力を鍛えなければこれからの国際社会では生きていけません。
だからこそ、これらの能力を子ども達に教育しておくことが、大切なのです。
これは父親にとっても、すこし厄介な役割になるかもしれません。
そして、子ども達にこの能力をつけさせるために、家庭でも両親がお手本を示さなければなりません。
お小遣いアップの交渉・お出かけ先の交渉・どのレストランに行くかの交渉など、家庭でも小さな交渉事は頻繁にあるので、交渉の仕方を伝授してあげて下さい。
ところで、小さなチームをつくったり、部活動、会社での組織を運営したりする際に要求される能力は「段取り力」なのです。チームメンバーの状況を把握しつつ、組織運営に必要な事柄を、事前にスケジュール化して、関係各所と連絡を取り、予約し、実際に計画を実行するコーディネーター的な役割です。
事前にしっかりと計画やスケジュールを立てることはもちろん大切なのですが、何よりも大切なのは上手く行かなかったときに、どのように切り抜けていくかなので、問題解決力も同時に要求されるのです。
これらの能力を子ども達につけさせるには、小さなグループの運営を実際に任せてみて、経験をたくさん積ませることが何よりも一番なのです。
ですから、遊びでも工作でも運動でも何でもよいので、ひとつのプロジェクトを任せること、お使いをさせる経験をさせることが大切になるのです。
またフルーツバスケットや連想ゲーム等の遊びを通じて、そのような感覚を身につけることができます。
「根回し力」・「調整力」は、とても日本的な考え方ですが、大きな組織を動かすためには「根回し力」が要求されます。
事前に仮の了承を取ってから大きく動かさなければ、反対にあって、せっかく良いことをやろうとしても、潰されてしまい、できなくなることがあるからです。
事前に関係各所の利害関係を抑えておいて、問題点を先に潰して調整する力が必要なのです。
子ども達にそれらの力をつけさせるのには、「段取り力」と同様に「交渉力」が必要です。
プロジェクトを成功させるためには、自分が動き回って、各関係者との調整や交渉が必要だからなのです。
関ヶ原の戦いにおける、徳川家康側の調略戦法ではありませんが、戦いというのは得てして、始まる前に既に決着がついている場合が大変多いのです。
逆に言えば、いざ大勝負と言って始める前に、しっかりとした地固めや、準備、根回し、調整ができていなければ、物事は成功しません。
そのようなことを知り尽くし、事前にしっかりと「根回し」できる子ども達に育ててあげて下さい。
「説得力」も、日本人に欠けている要素です。
日本では、言葉で示すより態度で示す、「不言実行」の文化があるため、説得する機会も少なく、それらの技能に弱い人間が多いのです。ところが、国際社会では、どうでもいいようなことまで、しっかりと論理的に説明することを求められます。
日本人にとっては、はなはだ面倒くさいことなのですが、国際社会の要請として、説得は必須なのです。
ですから、まずは幼少期から正しい日本語で論理的に話せることを、家庭でも練習させてください。
ところで、粘り強い交渉力を身に着けるには、ディベートの練習を幼いころからさせることが効果的です。
それには、運動系の習い事が一番役に立ちます。
家でやるなら息止め、空気椅子、腹筋や人間ベンチプレス等で、家族で遊び感覚で鍛えることも出来るので、是非やってみてください。
②論破する勇気
子ども達を交渉の達人にしたいのならば、論破が出来るように育ててあげてください。
論破(ろんぱ)とは、相手の理論・切論を破ること。対象を言い破ること。議論で相手を言い負かす・屈服させることなどを意味します。
論破をするコツは、先ずは日頃からしっかりとディベートの練習しておく必要があります。そして、
①相手の矛盾点を見つけたらそこを集中的に指摘する
②相手の論じていることに適応しない仮説を立てる
③冷静に必要な部分だけを集中的に発する
④相手により多くを喋らせる
⑤相手を感情的にさせる
⑥隙を見つけたら一気に畳み掛ける
⑦「なぜ?」という質問を繰り返す
⑧相手に具体例の提示を求める
⑨相手の主張の普遍性を問う
⑩そして最後には、相手の逃げ道を少しだけ開けてあげることなのです。
また、交渉においては、話すスピードも重要なので、速攻で答えを切り返したり、早口で喋ることも大切になるのです。
特に日本語と英語との決定的な違いはスピードだからなのです。
実際の会話の際に、英語圏の人々はとても速くしゃべります。
普段ゆっくりと話すのに慣れている日本人は、そのスピードに圧倒されてしまうのです。それらに対抗するためには、早口で話すことも必要になるのです。
普段の家庭での会話や日本人との会話でも、早口で話す習慣をつけておくと、将来役に立つと思います。
子ども達に論破力を付けさせたいのであれば、毎日の家庭内会話のレベルをあげてみてください。
辻褄の合わないこと、曖昧な回答を見逃すことなく、5W1Hのしっかり入った論理的な回答に辿り着くまで、必ず、いつ?何処で、誰が、何を、なぜ、どのように?と質問し続けてください。そして自分の発言にも、突っ込まれないように、正しく論理的に話すように注意をしてください。時には、子ども達を論破して、ガックリさせてみることも必要なので、子ども達の成長に合わせて、少しずつレベルを上げた会話を心掛けてみてください。そしてただ論破する事を目的にするのでは無く、その裏には大和魂や人間としての正義の哲学をしっかりと持って、論破する事を目指すようにしてあげてください。
③段取り力
子ども達を交渉の達人にしたいのであれば、段取り力を付けさせてあげてください。
段取り力とは、仕事に限らず物事を効率よく進めるために「先を読んで考え・行動できる力、先を読める力」と言うことができます。
日々の仕事を進める上で、段取りをしてから進めた場合とそうでない場合とでは、当然ながら仕事のスピード・精度・達成感に大きな差が生まれる筈なのです。
段取り力を発揮して仕事をうまくこなすことができれば、周りから高い評価を得ることができるのはもちろん、無駄な残業をすることも減り、プライベートの時間を確保することにもつながるのです。
段取りを組む為の8つの手順は、
①目的を明確にする
②背景を理解する
③目標を明確にする
④目標までの作業をリストアップする
⑤リストアップした作業を順番に並べ替える
⑥作業ごとに成果物の内容・レベルを決める
⑦作業ごとに役割分担を決める
⑧作業ごとに所要時間を見積もる
になります。
また、段取りを上手く進める4つのコツは、
①悩まずに決めてしまう
②当事者意識を持つ
③先読みをする
④小まめに進捗確認する
ことなのです。
欧米の場合には、強いリーダーシップで上記の様に進めて行けば良いのですが、日本の場合には必ずしもそうは行きません。段取り以前に根回しをしたり、人間関係を使って調整をしたりする必要があるからなのです。
それぞれの関係者を納得させつつ、少しずつ前へ進めて行かなければならないので、より時間や準備が必要となって来るので、難易度が増すのが現実なのです。
子ども達に段取り力を付けさせる為には、先ずは仕事を与えて、責任を任せてみて、自分自身で段取りをさせてみることなのです。その中で失敗を繰り返し、反省をして修正を積み重ねることで、段取り力が体に染み付いていくようになるからなのです。
段取り力は、リーダーには欠かせない能力のひとつなので、是非とも子ども達に身に付けさせて欲しいのです。そしてその様な段取りを組めるからこそ、相手に対しての交渉力を持つ人間になれることを決して忘れないで欲しいのです。
④孫子の兵法
子ども達を交渉の達人にさせたいのであれば、孫子の兵法を学ばせてあげてください。
孫子の兵法とは、中国春秋時代(紀元前500年ごろ)に、思想家孫武によって書かれたとされる兵法書のことを言います。世界での戦略論としての評価は非常に高く、クラウゼヴィッツの戦争論と並び、東西の二大戦争書とも呼ばれております。孫子は、紀元前500年ごろ、中国春秋時代に呉国に仕えた名将軍で、呉国の発展に大いに貢献した人物なのですが、現代においても孫子の兵法は実践されているので、特に中国人と交渉する際には、この孫子の兵法を頭に入れておかないと、スムーズな交渉が難しくなってしまうのです。
孫子の兵法を代表する考え方が、「彼を知り己を知れば百戦殆からず。」になります。
戦う際には、敵の実力や現状をしっかりと調べて把握し、過信せずに自分自身のことをよくわきまえて戦えば、何度戦っても、勝つことができると言う教えなのです。
何か問題を解決するときも、その内容を吟味し、自分の力量を認識したうえで対処すれば、うまくいくと言う教えなのです。
「こども孫子の兵法」の著者齋藤孝氏は、この「孫子の兵法」を大人だけのものにするのは、とってももったいないと考えて、子ども向けの本にして出版しました。こどもだって、競争をしなければならないときもあるし、人間関係で悩むこともあるからなのです。
また、将来に不安を感じることもあるかもしれません。
つまり、たいへんな環境で生きているのは、大人だけではないということだからなのです。
「孫子の兵法」は、きっと子ども達にも役立つはずだと考えて、この『強くしなやかなこころを育てる! こども孫子の兵法』を出版されたので、是非とも子ども達にも読ませてあげてください。
子ども達に孫子の兵法を学ばせたいのであれば、両親が先ずは「孫子の兵法」を理解して、それらが当てはまる事例を具体的に引用して、教えてあげてください。
古代の知人の知恵が現代でも使えることを、実感させてあげることで、物事を判断したり、交渉する際に大きな武器になる筈だからなのです。
⑤将棋
子ども達を交渉の達人に育てたいのならば、将棋を教えて、親子対戦をしてみてください。
将棋のメリットは、
①将棋を覚えることで「待てる人間」になる=指示待ち人間ではない。相撲には”3年後の稽古”という言葉がありまして、今やっている稽古の成果は3年後に出てくるということなんですね。将棋も同じで、努力や勉強の蓄積が時間をかけて出てくるのです。
② 結果より大事なのはプロセス
がんばったプロセスを褒めてあげることで、子ども達には努力する喜びが生まれます。
③ 相手の側に立って考える思考法や駆け引き
④ 将棋を通して学べる「負ける経験」
⑤ ビジネスにも通用する「将棋脳」の存在
「マナー」「集中力」「先を読む」「決断する」「見返す」。
⑥ 何才からでも将棋は始められる!
ルールや駒の動きを、理解できる3歳くらいになったら将棋を始めてみることが大事だと私は思います。
最年少一般棋戦優勝・タイトル獲得、史上初の10代九段など多くの記録を更新している藤井聡太氏は、5歳で母方の祖父母から将棋の手ほどきを受け、小学6年生の時に史上最年少で奨励会初段、奨励会二段に昇段しました。中学1年生の時のに史上最年少(13歳2か月)で奨励会三段に昇段し、14歳2か月での四段昇段=プロ入りを決め、最年少棋士記録を62年ぶりに更新しました。
子ども達に将棋を覚えさせたいのであれば、個人差はありますが、3歳位になると記憶力が上がり、上達のスピードも驚くほど早いので、将棋を始めてみてください。最初は動物将棋や軍人将棋でも良いかもしれません。両親や祖父母が対戦をしてあげることで、家族のコミニュケーションが円滑になります。
また、子ども達は負けると悔しいので、何とか自分が強くなって両親を負かそうと、色々と工夫をする様になります。将棋の攻略本を読んで勉強してみたり、iPadの将棋アプリで独学をしてみたり、友達を誘って練習をしてみたりとあの手この手を考えるようになるのです。
将来はきっと将棋を通じて、社会に出ても何手も先読みをし、また駆け引き上手な人間になれる筈だからなのです。
⑥褒め言葉
子ども達を交渉の達人にしたいのならば、子ども達に褒め言葉をかけてあげましょう。また、子ども達が他人にも褒め言葉をかけられるように育ててあげてください。笑顔、ハグ、褒め言葉は子育ての3大ポイントだからなのです。
そして人間関係にもこの3つが非常に大切なのです。
まして交渉を行う際に、重要な武器になることも忘れないでください。
褒め言葉は、以下の「あいうえお」のように沢山ありますので、毎日のように褒めてあげてください。
あ行
ありがとう、アンビリーバブル
い行
いいね、いこう、いけてるね
う行
美しい、嬉しい、うそ~
え行
え~、偉い、笑顔がいいね、エクセレント
お行
お~、おめでとう、思い切りやろう、おしゃれ
か行
神、感動した、輝いてる、感謝、完璧
き行
綺麗、期待してるよ、君のおかげだ、器用だね
く行
グレイト、グッジョブ、苦あれば楽あり
け行
傑作、計画的だ、ケセラセラ
こ行
子どもとは思えない、心意気がある
さ行
流石、最高、最強
し行
知らなかった、信頼してる、姿勢が良い
す行
すごい、スーパーマン、素晴らしい、鋭い
せ行
センスいい、世界一、将来楽しみ、専門家、成長した
そ行
想像力豊かだ、その通り
た行
たくましい、楽しそうだ、試そう
ち行
超人、超一流、超特急、チャレンジャー
つ行
疲れ知らず、伝え上手
て行
天才、天下一、伝説
と行
ドンマイ、止められないね
な行
なるほど、ナイス、なんと
に行
日本一、人間とは思えない
ぬ行
抜け目ない、温もりがある
ね行
熱中してる、粘り強い
の行
乗り越えられない試練はない、伸びたね!
は来
パーフェクト、ばっちり
ひ行
百点満点、百人力
ふ行
ファンタスティック
へ行
へ~、ベリーグッド
ほ行
本当にすごい
ま行
任せた、真面目だね
み行
見事、ミラクル
む行
無理しないで、夢中だね、無限の可能性がある
め行
目指せてっぺん、名人だ、目覚ましい成長だ
も行
目標達成、燃えてるね、もてもてだね、文句なし
や行
やったね、やる気満々だね、優しいね、やればできる
ゆ行
勇気を出して、夢があるね
よ行
よろしい、よっしゃ、よくみてたね、用意周到
ら行
ライフイズビューティフル、ラッキー、ラストスパート
り行
立派、利口、リラックス
る行
ルール通り、ルネッサンス
れ行
礼儀がよい、レベルアップ、連戦連勝
ろ行
ロマンがある
わ行
ワンダフル、ワォ~
をん行
をぉー、ん
子ども達が褒め言葉を上手に使えるようにさせたいのであれば、先ずは両親が子ども達に愛情たっぷりの褒め言葉を毎日沢山かけて育ててあげることなのです。
褒め言葉をかけて貰う喜びを知って育った子ども達は、他人に対しても褒め言葉をかけてあげたいといつも思って人生を過ごせるようになるので、これが人生のプラスにならない訳がありません。
周りの人達とのコミュニケーションや人間関係を円滑にして、周りの人々から好かれ、また信頼される人間になれる筈だからなのです。
⑦交渉の達人
交渉の達人「落としどころを見つけだせる」力があれば将来、交渉の達人(タフガイ)になれます。
何かをやる場合、交渉の時も同じになりますが、先ずは目標(ゴール)をしっかりと認識して、そこから逆算をしてプロセスを決めないと上手く行きません。
交渉の際には「落としどころ」着地点をしっかりと認識した上で、初めて交渉に取り掛からなければなりません。
落としどころだけは譲れないので、その間に譲れるところは譲り、譲れないところは時間を掛けて守らなくてはなりません。
相手が納得する要素をなるべく沢山出してあげることも重要になりますが、決して焦ったり、感情的になってはならないのです。
どんな時にも冷静になって、落としどころに辿りつく道だけを進まなくてはならないのです。
子ども達には、日頃の生活の中でもこの交渉のプロセスを経験させてあげてください。
時には、圧倒的に論破して子ども達をギャフンと言わせる悔しい体験をすることで、頭を使って交渉する方法が少しずつ身に付く筈だからなのです。
感情的にならずに、冷静に判断出来ることは、人生を生き抜く上でもとても重要な要因になるので、子ども達には是非とも教えてあげて欲しいのです。