黒澤明監督が世界に誇る技術

 黒澤 明氏は、世界に誇る日本の映画監督、脚本家、映画プロデューサーです。

そのダイナミックな映像表現、劇的な物語構成、ヒューマニズムを基調とした主題で尊敬されています。生涯で30本の監督作品を発表しましたが、そのうちの16本は俳優の三船敏郎とコンビを組みました。ハリウッドの荒野の七人のように、黒沢明氏の作品をリメイクした作品も多くみられます。

① 「ワンシーン・ワンカット方式」

徹底したリハーサルを重ね、盛り上がった感情を、カットを割ることなく、一気に撮り上げる。こうして撮られた映像のリアリティーと迫力は他の追随を許さない。

②マルチカメラ

『一つのシーンを複数のカメラで一気に撮る』という、ある意味で常軌を逸した方法でした。

「七人の侍」で8台の望遠レンズを使って同時に撮影するということが試験的に行われ、次回作の「生きものの記録」で本格的に取り入れられました。

③モンタージュの技

『姿三四郎』では短い格闘を幾つものカメラによって捉えたもので、多層的となっています。

以降の黒澤の神業と言われたモンタージュの技はここにすでに芽を出していました。

④パンフォーカス

『パンフォーカス撮影』とは、手前から奥まで、全てにピントが合っているように写す手法です。

これによって

『被写界深度』が深くなることが良く分かります。

⑤鏡を工夫した照明の技

照明の明かりが弱かった時代から、照明に拘り、

ライトはいつもぎらぎらして、とても強かったのです。

『鏡を何枚も使って、森の外のと明かりを集めてくる』技も使っていました。

⑥墨混じりの雨

白黒映画時代には、臨場感を出す為に、

『墨汁を混ぜた水を使って、色のついた雨を降らす』という演出をしました。

この墨汁の雨が使われた映画として有名なのは、『羅生門』と『七人の侍』です。

雨の陰影が薄くて映らないのなら、陰影の濃い雨にすれば良いと考えだのでしょう。

⑦音声

音楽や効果音など“音”を映像に掛け合わせて、ダイナミックな演出を試みる「音と映像の対位法」を試みています。

⑧映画音楽

例えばシリアスなシーンに、あえて明るい音楽を流します。そうすることで深刻すぎる印象を避けるだけでなく、明るい音楽がシリアスさを際立たせるという、不思議な効果があるのです。

シーンと音楽の調和をあえて避ける手法なのです。

⑨ドローン的に激しい動きを俯瞰的に捉えて、表現することがポイントになっているのです。

⑩色の魔術師

カラー映画になってからは、煙に真っ赤な色を付けたりして、特に色の演出が素晴らしい

①①映像に効果付け

世界ではじめて太陽にカメラを向けたり、従来のレフ版を鏡に変えたりと、光の使い方でダイナミックなコントラストをつけることに成功した。

その他に、サムネイル、ぼかし、煙、火、柱、椅子を上手く活用していました。

①②動きの対比、動きでストーリーを完結させてしまう技術力。

①③雨、風、炎を上手に使う

主役よりも背景の動きに目を奪われてしまう演出

①④アングル

カメラの動きとアングルでもストーリーを作ってしまう凄さ

①⑤オーバーなアクションで俳優の表情が印象的

①⑥椿三十郎では、血飛沫の鮮烈さに圧倒されて驚く

①⑦人々がオロオロするシーンで心や感情を表現しているのがとても特徴的

①⑧何のシーンか最初は全く分からない演出も行っています。そのショットが観る者の脳に焼き付いて、記憶の中で作品全体の象徴に育って行くのです。

①⑨絵コンテ

芸術的な絵コンテを自ら描き、シナリオをわかりやすく具現化していましたが、コンテ通りに仕上げるのが目的では無く、スタッフひとりひとりがコンテのイメージを膨らませるということを重要視していました。

②⓪芸術品なカット

西洋映画には無い、

「前景を置いて趣向を作る」カットの構図とその撮り方は、浮世絵から来ているのかもしれません。

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