承認欲求 159

 承認欲求とは、「他人から認められたい、自分を価値ある存在として認めたい」という欲求のことで、「尊敬・自尊の欲求」とも呼ばれています。
そして承認欲求には以下のタイプがあります。
①自己承認とは、
「自分で自分自身のことを認めたい」という高いレベルの欲求のことです。
「もっとうまくできる筈」「もっと自分を好きになりたい」と考える時の状態が、自己承認を求めている状態なのです。そこでさらに技術を磨いたり、能力や自己肯定感を高めたりすれば、自己承認を満たすことが出来るようになるのです。
②他者承認とは、
他人から認められたいという低いレベルの欲求のことなのです。他者からの尊敬や評価を得たり、多くの人から注目を浴びたり、富や名声、権利を持ったりすることで、他者欲求を満たすことが出来るのです。
たとえば同僚から、「仕事ができる人だ」と思われたくて頑張る状況が他者承認になります。
ただし他者承認を求めすぎると、自分を見失ったりトラブルを引き起こしたりしてしまいます。
自己顕示欲との違いは、自己顕示欲の場合には、ただ人気者になりたい、自分の存在を周囲にアピールしたい、大勢の人から注目されたいと言う、表面的な欲求なのに対して、他者承認では中身まで評価してもらうことを目的としている点なのです。
③存在承認とは、その人の存在、自分の存在そのものを承認することで、承認欲求を満たす上で、土台となるのです。
人に意見を求めたり、目を見て話したり、相手の名前を呼んだり、挨拶をささたり、
「いつも気にかけているよ」という意図が伝われば、承認欲求を満たすことにつながるのです。
④行動承認とは、今取り組んでいる課題に対して、目指していた結果が出なくても、その行動や事態を褒めることなのです。プロセスを褒めたり、目標に向けてどう動いたかを確認して努力したことを褒めたりすることで承認が出来ます。
人から自分の行動や努力を褒められると、やる気が出るものです。行動承認は、人のモチベーションを上げるのにとても効果が高いのです。
⑤結果承認とは、「実際にできた」「達成した」事柄について褒めて承認することなのです。
たとえば「テストの点数がよかった」「目標のノルマを達成した」という場合、その結果を評価し褒めて承認してあげます。
しかし結果承認は、プロセスではなく結果を褒めるため、次回も良い結果を出せないと認められないことが難点になります。
承知欲求を満たすことでのメリットは、
自分の価値を実感でき、自分の可能性を信じることができるということなのです。
ですから、チャレンジ精神が養われ、失敗したり落ち込んだりしても「どうすれば乗り越えられるか」を自分で考える主体性や、自ら立ち直る力をつけることができます。
また、自分に価値があると感じられるからこそ、人に助けを求められるようになりますし、他人の気持ちを想像したり共感したりという力も養われます。
子ども達が社会性を身につけながら、周囲と協調しながらもアイデンティティを持って自分らしく生きていく上で支えとなる「自信」をぜひ育ててあげてください。

 脳には報酬系と呼ばれるシステムが存在します。ほめられると、その報酬系からドーパミンが放出されます。すると、脳は「心地いい」と感じるのです。脳は心地よくなるためにドーパミンを得たいのです。また、ドーパミンを得やすいように脳自ら構造を変化させていく性質があります。要するに、「できた自分」「頑張った自分」を定着させようとするのです。だから子ども達は、「できていた部分」をほめられたことで、記憶が定着するのです。
反対にストレスがかかると放出されるノルアドレナリンは、自律神経に働きかけて心拍数を上げたり、血液量を増やしたりして、活動しやすい状態をつくります。この2つをコントロールして、気持ちを安定させるのがセロトニンなのです。
人は、ほめられるとセロトニンが分泌され、気分が高揚します。これは、セロトニンという神経伝達物質が増えることによる作用なのです。
ただし、ほめすぎると調子に乗ったり、過活動になったり、ハイになりすぎることもあります。
これは、このセロトニンの過剰分泌が躁状態を引き起こすからなのです。
反対に、セロトニンの不足は鬱状態を引き起こすと言われています。ほめられると嬉しくなる、心が整う、ワクワクドキドキする、モチベーションが上がることも効果としてあるのですが、ほめられるとドーパミンが放出され、心地よいと感じ、記憶に留まりやすくもなるのです。
ほめるというのは、感情を刺激するだけではなく、「できたこと」を確実にし、次のステップへとつづく足場をつくっていくようなものでもあり、それによって成長が促されたり、成長スピードがアップしたりします。
「いいな!」「すごい!」「頑張ってる!」「成長した」と感じたら、タイミングを逃さずすかさず子ども達をほめてあげましょう!
できることが増えたり、成長が実感できたりすると、「やっていることは間違いない」「無駄でない」「まだまだできる」「もっと頑張りたい」という子どもの自信にもつながるからなのです。

認めてあげるポイントとしては、
①ありがとう」「すごいね、頑張ってるね、成長したね」「あなたが好き」の3要素を伝えましょう。
ほめることは、認めることなのです。
毎日大袈裟にほめる必要はありません。子どもを観察しながら3つの要素を探し、気づいたことをそのまま伝えてあげれば、自分に価値を感じられるはずです。
②プロセスや努力にフォーカスしましょう
結果や成績、能力だけをほめると、「結果をださなければ意味がない」「成績さえ良ければいい」と考えるようになります。
結果を出せない自分は価値がない、能力がない、と自信を喪失しがちで、チャレンジしたり主体的に動いたりすることを嫌う子どもになってしまいます。自分に自信を持って、学ぶことを楽しみ、チャレンジ精神や立ち直る力、主体的に考え動く力を身につけてもらいたい。そのために、努力したこと、チャレンジした過程を認めほめてあげましょう。
③具体的に伝えましょう
ほめられた子ども自身が、自分の成長や変化、何が認められているのかを実感できることが大切なのです。ただ「すごいね」「頑張ったね」「成長したね」ではなく、何がどうなって、どんな行動が素晴らしいのかが分かるように、具体的に伝えてあげましょう。
④感情を込めてで伝えましょう
伝え方を工夫すれば、事実に加えて、あなたの感情や意見も一緒に子ども達に伝えることが出来ます。自分の行動が誰かに影響を及ぼすことを学ぶことで、自分の存在意義を感じたり、自然と他人を思いやる力が育まれます。子ども達にとって一番身近で大切な両親からの感情も一緒に伝えてあげましょう。
⑤カラダ全体で伝えましょう
ほめているとき、表情と言葉がずれていると、子ども達が混乱してしまいますので、言葉だけでなく、表情や態度を含めた全身で表現してみましょう。
子ども達には、きっと主体性やアイデンティティが芽生え、ひとりの人間として、立派に成長してくれる筈だからなのです。

そして、私がブログに書いている毎日のテーマを必須課題だと意識して1番から365番まで実行してみてください。それらをやり遂げた先には、お子さん達の大きな成長と進化がカタチになって現れて来ている筈ですので、それを楽しみに毎日のテーマとその課題に、お子さんと一緒になって全力で取り組んでみてください。

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