柔よく剛を制す

最後に「力で倒せる」があれば将来、セレクションにも合格ができるようになれます。
私は息子に対しては、赤ん坊の頃から赤ちゃん体操で鍛えて参りました。早くハイハイや捕まり立ちができるようにと、ピョンピョンとジャンプをさせたり、足を持ってぶら下げたり、グルグル回したり色々と工夫をしてみましたが、なかなか成果は表れませんでした。
やがて歩行器を使って歩けるようになると一転して、素早く動けるようになってきました。
歩けるようになってからは、手を繋いでわざと速足で歩いて連れまわすことを心掛けました。息子は、いつも必死になって「ピョンピョンと」跳ねながらやっとの思いで私について移動を繰り返していました。
この方法は、他の子供達にもやっていますが、行動がキビキビと素早くなり、早く歩く習慣が付きます。
その甲斐あってなのか、息子は駆け足では、いつも一等賞で代表リレーチームのアンカーでした。アンカーで最後に抜いて勝ってしまうので、隣のクラスからはいつもブーイングが出ていたことを思い出します。
大学の野球部でも俊足自慢の選手でありましたが、流石に同期の重信選手、現読売ジャイアンツだけには勝てませんでした。中学時代は持ち前の俊足とバッティングと評定平均で東京六大学附属高校のセレクションに合格、慶應義塾高校推薦一次試験にも合格を果たしましたが、残念ながら最後の二次試験では不合格となり、そこから七転び八起の人生が始まりました。
ところで日本人は体格でも身体能力でも外国人に負けています。
たとえそれが現実だとしても、ひとたび緊急事態が起きてしまえば、家族や日本のために命を掛けて戦わなければなりません。そして体の小さな日本人でも外国人に勝てるように、柔道、剣道、空手、合気道などの武道という素晴らしい、鍛錬手法が生み出されたのです。
武道そのものができれば素晴らしいのですが、私はファイドウという、武道を取り込んだ格闘技系のエアロビクスを通じて、健康管理を行っています。
息子の場合には野球をやっておりましたが、息子が選んだ鍛錬方法は、元メジャーリーガーのイチロー式初動負荷トレーニングで体を柔軟化し、大きく鋭く体を使えるようにするものでした。
筋トレで体を大きくするのとは真逆の考え方なのですが、イチロー選手も「ライオンは筋トレをしない」といつも口癖のように言っていました。
怪我をしない柔軟な体を作り、結果として勝負に勝つことが最も重要だと言うことを理解すれば、やらなければならない事は明らかになるのです。
柔よく剛を制す、これが日本人の素晴らしい智慧なのです。